東洋医学の『気』って何?(前)
東洋医学の『気』って聞いたことはあるけど、「実際は何なの?」と思っている方は多いのではないでしょうか?
今回は、その『気』に焦点を当てて話していきます。
『気』は西洋医学には無い、東洋医学独特の考え方です。
まず前提として、東洋医学では、人は『気、血、津液(水)』の3つの要素で構成されていて、その3つバランスよく存在することで、身体を動かしたり、ものを考えたり、健康を保っていられたりすると考えています。
※気、血、津液に『精』を加えて4つの要素で考えることも多いのですが、非常にややこしくなるので今回は3つとします。(精という言葉は出てきます。)
『気』は『血』や『津液』に比べ情報量が多く複雑なため数回に分けてお伝えしようと思います。
今回は『気』とは何なのか、と『気』の種類についてです。
では、その『気』について見ていきましょう!
『気』は人が営むすべての生命活動のエネルギー源となるもので、「気、血、津液」の3つの中でも非常に重要な役割を担っています。
そして人体に起こるすべての現象の最小単位は、この『気』であり、何をするにも『気』は必要となってきます。
『血』や『津液』も『気』がなければ作ることができません。
当めぐみ鍼灸で取り入れている「経絡治療」でも、経絡が「気の通り道」という観点から『気』をとても重要視しています。
※気は本来、古代中国の哲学や思想から生まれた言葉で、非常に概念的なものだったが、現在は物質的な要素して考えるように変化した。そのため気というものは、意味合いが非常に幅広くなっている。
『気』の意味
「気が合う」や「気を病む」といった「気」を使う慣用句ってたくさんあると思うのですが、これらに使われている「気」は東洋医学の『気』から作られた言葉です。
「病は気から」なんて非常に分かりやすいですね。
気のバランスが崩れると病にかかる。
昔の人は『気』を非常に重要視していたことが分かります。
さて、その『気』ですが・・・
『気』は戦前までは『氣』という旧漢字で書かれていました
「气」の部分には「雲」や「蒸気」という意味があり、「米」はそのままお米を意味していて、『氣』は「お米を炊いているときに出ている蒸気」を表していると言われています。
蒸気や雲は当時の人達からすれば、空にあり触れられない超常的なものだったのではないでしょうか。
そしてお米は当時の大事な栄養源であり、また日本には石高(こくだか)という言葉があるように、お米が取れるということは国や人も元気にするとても重要なことでした。
そのことから、『氣(気)』は大きなエネルギーを持った、人にはなくてはならないものという意味合いがあります。
『気』の源
ではその重要な『気』は何から作られるのでしょうか?
『気』は下の3つの材料から作られています。
・先天の精:両親から受け継いだ物質(精)
・後天の精:接種した飲食物から作られる物質(精)
・清気:肺から取り入れる大気中にある有益な物質。酸素に相当する。
※先天の精、後天の精:『精』の一部
先天の精は生まれつき持っているもので、その量には限りがあります。
つまり「後天の精」を作るための消化機能と「清気」を作るための呼吸機能はとても重要ということですね!
『気』の種類
『気』はその成り立ちや、働きによっていくつかの種類に分けられます。
●成り立ちによる種類分け
- 「先天の気」
・生まれたときから持っている気
・腎に貯蔵されている
・人生を終えるまで、少しずつ消費され、継ぎ足すことはできない。
・使い切ると死を迎える
・発育に影響する - 「後天の気」
・先天の精を補うように使われる
・消化吸収機能が落ちるとうまく作ることができなくなる
人は常に『気』を消費することで生きてます。
先天の精を使い切らないように後天の精で補っているので、食事は非常に重要ということですね!
●気の分布や役割による種類分け
- 原気(真気)
・最も重要な気
・生前は先天の精から作られ、生後は後天の精によって補充される
・生命活動の基本となる
- 宗気
・後天の精の原料である「水穀の精微」と「清気」から作られる
・呼吸や心臓の拍動の原動力となる
・肺が気血を循環させるために使用される
- 衛気
・「水穀の精微」から作られる
・経脈の外や体表面にある気
・陽の力が強い
・昼間は体表面に、夜は五臓六腑に存在する
・肌のキメに影響する
・外邪から身体を守っている(衛気を超えてきた外邪を追い出す)
・体温調節を行っている
・発汗に関与
- 営気
・「水穀の精微」から作られる
・経脈の中を巡る気
・陰の力が強い
・血液を全身に運ぶ役割を担う
・栄養分の多い気
たくさん出てきましたね(汗)
『気』は、身体の中でそれだけ多くの役割を担っていて、相互に関係しあっています。
そのため、一つの『気』が欠けてしまうと、体調を崩してしまいます。
これらの『気』にはそれぞれ作用があり、調子を崩さないようにバランスを取ってくれています。
この話は次回ですることにします。
【参考文献】
- 黄帝内経
- 日本鍼灸医学 経絡治療学会編纂
- よくわかる経絡治療講義 大上勝行
- 東洋医学のしくみ 新星出版社
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