五臓の肺④
さて五臓の肺の話の4回目です。
今回は今前回までにお伝えできなかった肺についての補足と、肺に関係する六腑についてお伝えしたいと思います。
まずは前回までにお伝えできなかった、肺についての補足なのですが、補足というのは肺が弱ったときに食べた方が良い物についてです。
●肺と辛いもの
肺欲辛
「黄帝内経素問」五臓生成論篇第十
辛散
「黄帝内経素問」蔵気法時論篇第二十二
東洋医学では五味という考え方があり、その味の食べ物を摂ることで身体に様々な反応が起きると考えられています。
五味には酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味の5つがあります。
その五味の中で、肺が弱ってきたときに重要になってくるのが辛いものです。
辛味には気の循環促進作用や発散作用があると言われています。
肺には収斂と発散という真逆の性質が備わっています。
収斂は気を内側に取り込んだり腠理を閉じたりという働きがあります。
発散は気を全身に巡らせたり、流れの悪くなった気を外に逃がすために腠理を開いたりという働きがあります。
これらの収斂と発散を適度に行うことで、気の循環を調節しているのです。
肺は外邪などから身体を守るために、異常が起きると腠理を閉じる収斂作用を働かせます。
これ自体は必要なことなのですが、肺の収斂作用は非常に強いため、腠理は一度しっかり閉じてしまうと開きづらくなってしまうのです。
そのため腠理が閉じた状態が続くと、全身の気の発散をうまく行うことができずに、気が一箇所に停滞してしまいます。
そうなると気滞(きたい)という状態となり、激しい症状を伴うことが多くあります。
そこで辛いものを食べることで、一時的に気の循環や発散を促進させて症状を回避しようということです。
ただし気の循環は適度に行う必要があるため、辛いもののとりすぎるてしまうと腠理が開きっぱなしになり外邪が侵入しやすくなってしまうため、摂り過ぎは禁物です。
●肺と大腸
各五臓には表裏の関係になっている六腑が存在します。
六腑は五臓の働きをサポートし、五臓の力は六腑に影響しています。
・表裏関係
肺合大腸 大腸者 傳道之府
「黄帝内経霊枢」本輸篇第二
肺と表裏関係にある六腑は大腸です。
肺と大腸は離れた位置にあるためイメージしづらいかもしれませんね。
東洋医学には陰陽論という考え方があり、これは2つの逆の性質のあるものを比較するという考え方です。
肺は上部にあり、大腸は下部にあるため陰陽では対比して考えることができます。
また肺は心臓を包むようの配置になっていて、大腸も小腸を包むような配置になっていることから表裏関係になったものだと考えられます。
肺の気が衰えると、大腸の気も衰えて冷えやすくなります。
要はお腹が冷えやすくなります。
逆に肺に気が停滞すると、大腸にも気が停滞して便秘などを起こしやすくなります。
ちなみに、生まれつき肺の気が虚しやすい体質の方は冷たい飲み物を飲むとお腹を壊しやすい傾向があります。
さて4回にわたって肺について話してきました。
人は呼吸をしないと生きていけません。
東洋医学でも外部から気を取り込まなければ生きていけないと考えていて、とても重要な臓なのは変わりありません。
健康のためにも、美容のためにも少し気にしてあげてもいいかもしれませんね。
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