血?血液?東洋医学の『血』(後)
前回、東洋医学の『血』についての話をしました。
『血』と血液の違いや、『血』の働きなどについて見てきました。
今回はその『血』に異常が起きたらどうなるのか、について見ていきましょう!
『血』の異常
『血』の異常を血の病や血病と言います。
血の病には大きく分けて「血が足りなくなる『血虚』」と「血が詰まって動かなくなる『血瘀(けつお)』」の2つがあります。
●血虚
何らかの原因で必要な量の『血』が足りなくなっている状態です。
原因として多いのは『血』を作るための材料(食事)が足りない、もしくは『血』を作るための消化吸収機能が低下していることです。
他にもダイエットによる過度な食事の制限、ストレス、過労、過度な運動、睡眠不足、月経、出産などでも起こりやすくなります。
血虚になるとどんな症状が現れてくるのでしょうか?
- 血虚の症状の例
- 顔面蒼白
- めまい、立ちくらみ
- 目の疲れ、眼精疲労
- 爪に筋が入ったり変形したりする。
- 髪が痛む、抜け毛
- 経遅(月経が遅れる)
- 不眠
- 不妊
- 精神疾患
顔が青白くなったり、目がくらんだりといった状況を血の気が引くと言いますが、日常的にそのような症状が起こりやすくなります。
目は血を使用してものを見ていると考えられていて、血を多く消費しているため異常が現れやすい。
爪は肝が関わっていることから異常が現れやすくなります。
髪の毛は東洋医学では血余(けつよ)と言われ、『血』は髪の栄養としても使われており、髪の状態で『血』の状態を見ることもあります。
●血瘀
何らかの原因で『血』がうまく流れず、停滞している状態です。
また、滞ってしまっている『血』のことを『瘀血(おけつ)』といいます
血瘀も気滞と同様に直接気滞が起きる場合もあれば、何かが虚した(足りない)ため結果的に血瘀を起こしているケースも多く見られます。
また『血』は営気によって経脈内を運ばれているため、気滞と血瘀を併発しているケースもよくあります。
血瘀の症状はどのようなものがあるのでしょうか?
- 血瘀の症状の例
- 刺痛(何かで刺されるような痛み)
- 舌が紫色になる
- 急な鼻血
- 慢性的な重度の冷え(暖房がつけても冷える)
- 経乱(月経が早く来たり遅く来たり安定しない)
- 月経困難症
- 不眠
- 不妊
- 精神疾患
『血』は各器官を栄養しているが故に、異常が起きると重篤な症状を引き起こしかねません。
また、『気』とも密接に関わることから、気の病から血の病につながることも多くあります。
『血』の異常は、目や髪、爪など比較的分かりやすいところから現れます。
例えば目の充血、かすみ目、爪のスジ、髪のパサつき等です。
『血』が精神活動を安定させている関係で、このストレス社会のご時世において血の病は本当にすごく身近になっています。
「いつもと違うな」や「最近おかしいな」と思ったら、消化に良いものをよく噛んで食べて、休息を取ってください。
よく噛んでくださいね!(大事)
それが難しいのであれば、今の時代は目を酷使し続けているので、目を瞑って休めるだけでも効果は大きいです。
もしそれすらも難しなら、どこかで身体のメンテナンスを受けることをお勧めします。
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参考文献
黄帝内経
日本鍼灸医学 経絡治療学会編纂
よくわかる経絡治療講義 大上勝行
東洋医学のしくみ 新星出版社
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