血?血液?東洋医学の『血』(前)
『血』って体の中を流れている、あの『血』?
今回は「気、血、津液(水)」の『血』の話をしたいと思います。
東洋医学の『血』は、役割自体は西洋医学の「血液」と似たところをお持ちます。
しかし、そこは東洋医学。
独特な考え方も非常に多いですよ!
『気』の話でも書きましたが、東洋医学では、人は『気、血、津液(水)』の3つの要素で構成されていて、その3つバランスよく存在することで、身体を動かしたり、ものを考えたり、健康を保っていられたりすると考えています。
気についてのリンク
『東洋医学の『気』って何?(前)
『東洋医学の『気』って何?(後)
●『血』と血液
やはり『血』と聞くと、皆さん身体を流れる血液を想像されるのではないでしょうか?
血液は血管内を流れている物質で、↓↓のような構成をしています。
成分 - 割合 | 組成 |
---|---|
血漿(けっしょう)成分 - 55% | 血漿(血液の液体の部分) |
細胞成分(血球) - 45% | 赤血球、白血球、血小板 |
漫画、アニメの「はたらく細胞」で話題になったので知っている方もいるかもしれませんね!
この2つの成分をまとめて血液と呼びます。
一方東洋医学の『血』は経脈の中に存在する赤い液体と言われています。
まだ当時は顕微鏡なんてものはなかったので、血球までは分からなかったのでしょう。
『血』は基本的には、気と津液から作られています。
作るのが間に合わないときは腎に蓄えられた精から変換されることもあります。
●『血』の働き
『血』の仕事は、全身を栄養することです。
この「栄養する」は読んで字のごとく、全身に栄養を送ることで臓腑・筋・骨・皮膚・髪など身体に存在する各器官を滋潤しています。
滋潤することでそれらの器官の機能を保ってくれています。
西洋医学の血液も、全身に栄養や酸素を運んでくれていますよね?
昔の人はこの辺りは同じように考えていたようです。
科学的な検証が難しい時代に、現代の血液と同じ働きがあるということまで分かっていたのは驚きですね。
『血』の役割のうち、東洋医学独特なものは精神活動の安定です。
『血』が安定して供給されれば、精神も安定するということです。
逆に『血』の供給不足や滞りはうつ病などの精神疾患にも関わってきます。
●『血』と五臓の関わり
全身に『血』をバランスよく巡らせていくには、適切に生成、運搬、貯蔵される必要があります。
主には、生成は脾が、運搬は心が、貯蔵は肝が担当しています。
※東洋医学では消化吸収は脾が主に担当していて、他の五臓も手助けをしています。
少し詳しく見てみましょう。
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生成
先ほど、『血』は気と津液から作られていると話しました。
胃という鍋に入ってきた飲食物を、脾の力で分解消化し糟粕を作ります。
脾がその糟粕を小腸に送り津液を取り除いて水穀の精微と不要なもの(濁(だく))に分けます。
その水穀の精微と肺から取り込んだ清気が合わさり営気が作られます。
その営気と津液が一緒になって経脈内に入ると血に変化します。
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運搬
心は血脈を主ると言われていて、西洋医学と同じく、心が中心となって『血』を運搬しています。
他にも肺、肝、脾がサポートに回っています。
『血』は心の力で押し出された後は、営気の働きで経脈内に送り出されます。
心は『血』を送り出すまでが仕事で、それ以降経脈内を移動するには肺と肝の力を借りています。
脾は『血』が経脈の外に漏れ出てしまわないように経脈の壁を保護しています。
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貯蔵
常にすべての『血』が全身を巡っているわけではなく、一部は肝に貯蔵されています。
また肝は、必要なところに『血』を送り出すために、必要な『血』の分量のを計算してくれています。
『血』は全身の栄養として働き、様々な器官と関係があるようですね!
ではもし、その『血』に異常が起きたらどうなるのでしょうか?
それについては、次回にお話しようと思います。
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参考文献
- 黄帝内経
- 日本鍼灸医学 経絡治療学会編纂
- よくわかる経絡治療講義 大上勝行
- 東洋医学のしくみ 新星出版社
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