東洋医学の冬と養生①

/ 東洋医学, 健康

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気がつけば、もう今年もあと2ヶ月を切り、ここ数日で急に冬の天気になってしまいましたね。
1~2週間前まで25℃を超える夏日があったとは思えませんね。
暦上では11月8日の立冬から2月4日の立春までが冬となっています。
正直現代の気候にあっているかは微妙なところはありますが、先週には冬を迎えたということで、東洋医学における冬冬の過ごし方養生方法についてお伝えできればと思います。

以前に秋について書いたときにもお伝えしましたが、前の季節の過ごし方が次の季節の体調に影響してきます。
冬がすぎると、春には花粉症などのアレルギー性疾患や自律神経系のトラブルが比較的出やすい季節です。
この冬の過ごし方で春の体調にも影響が大きく出るので、ぜひ参考にしてみてください!

今回も前後半の2回に分けてお話しようと思います。
前半は東洋医学では冬をどう考えているのか、また冬にはどう過ごすのが良いのか、このあたりをお話します。

●冬と陰陽

東洋医学の陰陽という考え方はご存じの方も多いかもしれませんね。

  • 陰気:冷やす力、一箇所に収める力、堅め留める力が強い気
  • 陽気:温める力、発散して外に向かう力、動こうとする力が強い気

は一年の中で陰気が最も強くなる季節です。

ちなみに冬至(12月22日頃)は陰の力が一年で最も強くなる日で、一年で昼の長さが一番短くなります。
冬至を過ぎると、春に向けて少しずつ陽気が増していき、立春からは更に陽気の力が増していきます。

●東洋医学での冬

東洋医学におけるの性質は(ぞう)と言われていて、すべてのものを内側にしまうと考えています。
例えば、秋に実った野菜や果物が、種という小さな器に生命を収めて冬を越すようなイメージです。
生命は陽気で、その陽気を陰気の力で種の中にしまって漏れ出さないようにしていると考えます。
本来は活発に動き回る陽気も、冬の間は陰気の力で内側に固められて静かに守られています。
人の身体も同様に、陽気を陰気の力で身体の内側にしまって漏れ出さないようにしています。
言い方を変えると、身体の芯を温かい状態に保ってくれている感じです。
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この陽気が内側にあるからこそ、多少の寒さであればその陽気が身体を温めてくれるので耐えられるのです。
逆に陽気が不足していると、身体の芯が冷えてしまい寒さに耐えられず、様々な不調を感じるようになってしまいます。

は五行ではが配当されています。
五臓ではが水の性質を持っています。
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その季節にはその季節に配当された五行の力が強く働くようになります。
つまり冬は水の力が強くなります
また同じく水の性質を持つ腎の働きも活発になります。
東洋医学では、腎は津液の代謝を司っていて、腎が水を上手くコントロールすることで各器官や臓腑を潤しています。
また、腎が津液の量を調節することで熱を冷ましたり、身体が冷えすぎないようにしたりしています。
そのため、何かが原因で腎が弱っていると、津液の代謝がうまくできず身体が冷えてしまい、血流が悪くなりコリを感じたり、冷えによる刺さるような強い痛みを感じたり、循環器の異常が出たりします。

●冬の過ごし方

先程も言いましたが、冬は陰気が最も強くなる季節で、自然界でも陰の力である「(かん)」が非常に強く存在しています。
五気(五天)といって、自然界の中に当たり前のように存在する力なのですが、五気が強すぎるまたは身体の抵抗力が落ちている状態では、五邪という身体の悪影響を与えるもの一つの寒邪に変わってしまいます。
寒邪とはわかりやすく言えば冷えです。

五行
五気 湿
五邪 風邪 暑邪 湿邪 燥邪 寒邪

寒邪は五邪の中でも一番勢力が強く、最悪の場合命に関わるような状態になることもあります。
インフルエンザなどがそれに当たります。

冬場は、その寒さに負けないために身体に陽気をためて、冷えが身体に入って冷えてしまうことを防いでいます。
どうしても冬は陽気が少ないため、陰気の力で内側に陽気を入れてしっかりと守らなければなりません。
人間は陽気を消費発散することで活動しています。
そのため日常生活を送る上で陽気は必ず必要不可欠です。
しかし陰気が旺盛で陽気が少ない冬においては、消費した陽気をあとから補充することはとても困難なのです。
そのため可能な限り陽気の消費発散を抑える必要があります。
端的に言えば活動を控えることです。
もちろん何もするなと言うわけではありません。
特に積極的、活動的な動きは陽気を消費し、陽気が発散されると、身体が温まり汗をかきます。
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冬場に汗をかくと、身体が一気に冷えますよね?
そのような動きは控えたほうが良いということです。
健康第一を考えるのであれば、実は汗ばむようなスポーツは、冬場には向いていません。
特に普段運動をあまりしない方が、冬から運動を始めるのはあまりお勧めしません。

また冷えの影響を真っ先に受けるのはです。
本来肌は冷えの侵入を防いでくれるもので、肌が強ければそれだけ冷えにも強くなります。
もし仮に肌が弱い場合は衣服で防御力をカサ増ししてあげればいいのです。
しっかりと肌を覆って冷えを防ぐことが大事です。
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気候の影響で受ける冷えについては説明しましたが、それ以外にも身体に冷えが入り込んでくることがあります。
最近では冬でも部屋を暖かくしてアイスを食べる方が結構多いです。
そうです、食べ物や飲み物で身体を冷やしてしまうパターンです。
残念なことに本人が意図的に冷やしてしまっています。
もともと陽気の少ない冬場に、冷たいものを直接身体の内側に入れるため、身体の内側の陽気を一気に冷やしてしまいます。
できれば冬場はアイスは控えましょう💧


さて、前半では東洋医学での冬について見てきました。
やはり冬というのは、寒さも相まって冷えとどうやって向かうかが大事そうですね。
後半では具体的な養生法についてお伝えする予定です。



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