東洋医学の冬と養生②
前回の続きで東洋医学での冬とその養生法について話していきます。
後半の今回は具体的な養生法についてお伝えできればと思います。
前回、冬の過ごし方の話のときに冷えとどうやって向かうかが鍵とお伝えしましたが、冬の養生法はまさに冷えをどう対策していくかになります。
春や秋のような季節の変わり目では無いので、陰陽が活発に変動することも少なく、養生する上で冬や夏に受けたダメージを考えるということはあまり必要ありません。
冬場の養生法は、基本的には冷えの侵入を防ぐことと身体を温めることです。
それでは詳しく養生法をみていきましょう!
●秋の養生法(セルフケア)
・冬野菜で芯から温める
冬は他の季節と違い旬の野菜は少なめです。
しかし冬に旬を迎える野菜は身体を芯からしっかりと温めてくれるものが多く、うまく摂ることで冷えに負けない身体を作ることができます。
他の季節の野菜にも身体を温めるものはありますが、特に冬に旬を迎える野菜はその効果が高いと言われています。
冬が旬の野菜には、白菜、ほうれん草、小松菜、水菜、春菊のような葉物野菜、かぶ、大根、ゆり根のような根菜、ねぎ、にらのような薬味野菜があります。
また秋の野菜でも紹介したイモ類は冬場も旬が続いていて、イモ類は胃腸を強くしてくれる作用があります。
胃腸が強いと、消化吸収がスムーズになり、身体の中で気血を効率よくたくさん作り出すことができ、身体を温めてくれます。
・衣服をうまく使う
寒い冬場は誰だって服をきこみますよね?
服の着方一つでも、工夫すれば養生となります。
暖かくしたいからといって、着込み過ぎて重くなってしまっては肩が凝ってしまい気血の流れが悪くなってしまいます。
軽くて温かいものを選ぶことも大切です。
また昔から「首」と付く場所は冷やさない方がいいと言われています。
首、手首、足首は大きな血管が体表近くに出てくるため、冷たい外気にされしていると血液を冷やしてしまうため、最終的に全身が冷えてしまいかねません。
特に首には呼吸器に関係するツボが多くあり、マフラーやネックウォーマーで首を冷やさないだけでもカゼをひきづらくなります。
他には、男女問わず若い方に多いのですが、上はダウンやマフラーをしっかり着込んで下は短パンなどかなりの軽装という方をよく見かけます。
冷えは足元から侵入してくるため、非常に危険です。
腰から下はできる限り外気に触れないように工夫したほうがいいと思います。
特に腰と下腹部、それから膝から下全体は冷えやすい部分です。
最近は若い方でも着やすいような腹巻きなんかもありますし、足元はしっかりと靴下などで防寒してください。
・意外と効果のある寒風摩擦
寒風摩擦なんて古臭いと思うかもしれませんが、一度読んでみてください。
冬はカゼが流行りますよね?
カゼは漢字で書くと「風邪」ですが、これは東洋医学の風邪(フウジャ)が由来です。
※病気のカゼはカタカナ、フウジャは漢字で書きます
風邪は寒邪を引き連れて身体に侵入し、寒邪を身体全体に一気に撒き散らしすため、発症が早く、症状も酷いものが多いです。
前回、これらの風邪や寒邪の侵入経路は主に皮膚表面からで、肌が強ければ侵入を防ぐことができるとお伝えしたと思います。
寒風摩擦は軽く皮膚を摩擦することで、適度な刺激を皮膚に与えるため、皮膚の血流が増加し栄養を送ってくれるため、皮膚が強くなります。
ただし、強く擦ってはいけません!
乾いた布やタオルで、軽く触れる程度の強さで優しく10~20往復ずつ行ってください。
こする場所は全身やった方がいい事はいいのですが、まずは背中にやってみてください。
これだけでも結構暖まりますよ。
・入浴の工夫
温かいお風呂に入るとしっかりと温まって気持ちがいいですよね?
冬の間は身体が冷えやすいので、養生法として入浴は非常に効果的です!
ただし気をつけなければならないこともあります。
例えば、腰の痛い方がいたとして「お風呂で温まったら楽になった」という方もいれば「お風呂で温まったら余計につらくなってしまった」という方もいます。
温まると血流が良くなり、筋肉は一時的に緩みます。
温めて楽になるケースは、腰の痛みと言っても、筋肉のこわばりや重ダルさが主な症状のときです。
この場合は温めると、筋肉が緩むため楽になります。
逆に余計につらくなってしまうケースは、明確に痛みを伴っているときです。
実は、入浴などで外的に温めた場合はあまり長続きはしないのです。
充分に温まったかなと思っていても、お風呂から上がって外気との温度差で一気に身体が冷やされてしまいます。
この温度差で筋肉がこわばらせたり、神経を過敏にさせたりするため余計に痛みを増悪させてしまうのです。
明確に痛みのあるときは、入浴は軽めにして、入浴後はすぐに服を着て冷やさないようにすることが重要です。
また「動かなくても痛い」や「少し動いただけで激痛が走る」という場合は、急性炎症の可能性もあるため
入浴自体を控えたほうがいいです。
・上手に身体を温める
お風呂以外で温める手段として使い捨てカイロは非常に便利です。
外出時などで貼っている方も多いと思いますが、色々話を聞いているともう少しうまく使ってほしいなと思うことがあります。
冷えは足元から侵入するとお伝えしたと思います。
できれば腰から下を中心に温めたほうが全身がしっかりと温まりますよ。
また背中や肩に貼っている方もよく見かけますが、実はあまりお勧めしまできません。
上半身を温めていると、ノボセてしまって頭がボーッとしたり余計に肩がコったりします。
基本は頭寒足熱を心がけて、腰、下腹部、ふくらはぎを中心に貼ってみてください。
それ以外では三陰交というツボを温めるのもオススメです。
三陰交は昔から冷え解消のツボでよく使われていて、肝、脾、腎の三つの臓を温めることができます。
また三陰交というツボのすぐ近くに脛骨動・静脈、大伏在静脈という脚では大きな血管が通っており、血液をしっかり温めてくれます。
カイロやお灸で温めてみてください。
※妊娠中、不正出血のある方はお控えください。
また暖房器具もできれば気をつけて使っていきたいところです。
暖かい空気は上に、冷たい空気は下に溜まってしまうため、やはりノボセてしまう可能性が高いです。
エアコンやファンヒータを使ってはいけないというわけではありませんが、できればホットカーペットやこたつ、床暖房をメインに使用して足りなければエアコンやヒーターという使い方がおすすめです。
さて冬の養生の仕方について話してきましたが、今の身体は前の季節の過ごし方の影響を強く受けます。
そのため冬の過ごし方が、その春の間の体調に大きく影響してきます。
春にトラブルが出やすい方は、ぜひ冬の過ごし方に目を向けてみてください。
すべてのことを実行する必要はありませんので、できそうなことから試してみてください。
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