身体のイメージと痛み②

/ 健康

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引き続き、身体イメージと運動イメージの第2回です。
前回は身体イメージと運動イメージとは何なのかについてお伝えしました。
今回は、実際にそれらのイメージが身体にどのような影響を与えるのかについて話していきますね!

少しおさらいです。
身体イメージとは、脳内にある自分自身の身体のイメージです。
脳内で「今自分の身体はこうなっている」と想像したときに思い浮かべるもので、問題がなければ身体の細部まで鮮明にイメージすることができます。

運動イメージとは、身体イメージを素に作られ、脳内に想起される次に行う運動のイメージです。
スポーツのイメージトレーニングのような感じです。

実際に私達が身体を動かすときには、脳が一瞬で身体イメージから運動イメージを作り上げて、その通りに動いています。

さて、この身体イメージと運動イメージですが、簡単にズレが生じてしまうのです。
イメージがズレるってどういうこと?と思う方も多いのではないでしょうか?


●イメージがズレる、変わる

身体イメージは身体のクセを非常に濃く反映します
また実際の身体の状態とズレたり、くっきりとイメージできなくなったりすることが比較的簡単に起こります。

例えば上腕骨を骨折して三角巾で腕を吊っているとします。
少し巻き肩のような感じで肩を持ち上げ、肘を曲げて吊ることになります。
その後骨が治り、いざ三角巾を外して歩いていると吊っていた方の肩を上げ、肘を曲げて歩いている事がよくあります。
これは腕を吊っていた状態の腕や肩のポジションが、自然なポジションと上書きされているからです。

このように、しばらくいつもと違う状態が続いたり、いつもと違う動きを続けていると身体イメージはすぐにズレてしまいます
そして、運動イメージは身体イメージをもとに作っているため、身体イメージがズレていると運動イメージにもズレが生じてしまいます

ではイメージが変わってしまった場合どうなってしまうのでしょうか?


●イメージのズレと症状

上述の通り、運動イメージは身体イメージをもとに作っています。
このズレた運動イメージをもとに運動を行うと、先ほどの肩の例で言うと、右肩は問題なく動くのに左肩は動かしにくかったり可動域が狭く感じてしまったりということが起こります
また、動かしたら痛みが出ることもよくあります。
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他には「なんかよく分からないけど、歩いているとよく足ぶつけるんですよ」というようなことも、身体イメージや運動イメージのズレが原因のことが多いです。

またケガや病気でなくてもイメージがズレることもあります。
例えば年齢とともに身体が変化しても、イメージは若いころのままということがこれに当てはまります。
「昔スポーツをしていた人が、久しぶりにやったら意外とできた」なんてことがあると思いますが、これも一部当てはまります。
ただ運動イメージは作れてしまうので動けるのですが、筋力や柔軟性の低下を起こしているので同じ動きが身体にとって大きな負担となることが多いです。
他には年齢を重ねて、関節の可動域は正常なのに動かしづらいなんてのも、イメージのズレが原因のことが多いです。
よく「年で筋力が落ちたから」と片付けられてしまいますが、普通の日常生活でそこまでの筋力は必要ありません
例えば握力だと8kgあれば日常生活は可能と言われています。
8kgとは小学1年生女子の平均握力(8.52kg)程度です。

その他、イメージのズレが原因となり、運動をしていないときでも痛みや痺れを感じる現象もあります
例えば脳血管疾患後に麻痺側半身に何もしていなくても痛みや痺れや、部位の切断後の幻肢痛等もこれが原因のことがあります。
ただし、これは大きな病気やケガに限ったことではなく、私たちが日常生活をしているだけでも起きることがあります。
冒頭に出した「ちゃんと治ったはずなのに動かすと痛い」は、こういったことが原因で起きることも多々あります


●イメージを変えるには

身体イメージや運動イメージを変えるには、イメージを書き換える必要があります
スポーツ選手が行うようなイメージトレーニングもその一つです。
自分が理想とするイメージに近づくように、録画したり鏡を見ながら反復練習で刷り込む方法などがそれです。
他には、原因にもよるところはありますが、何かしらの方法で身体イメージと同じ場所に各身体の部位とが同じになるように外的な手段で調整する方法もあります。
鍼灸やマッサージの一部の方法はこれに該当するかと思います。

ただしイメージのズレを変えることは、専門的な知識がなければ難しいのが実状です。
その人の身体の状態や使い方を正確に見極める必要があるからです。
最近だとインターネットで簡単に情報が手に入りますよね。
当院に来院される方々も本当にたくさんの情報を持った状態でいらっしゃいます。
ただ、色々なことを試したけど効果がなかったという方が非常に多いです。
これは、その方の状態に合っていないためです。
私の場合は、例えば歩いていて不調がある場合、必ず歩いている姿を私自身が見て確認し、場合によっては録画するなどして患者さんと状態を共有するといったことをします。
身体イメージや運動イメージは自分で認識することが不可欠だからです。
そして実際に動きの中で、何をどう意識するか、一緒に実際に意識しながら動いてもらって練習していただいています。

詳しく書くとまだまだあるのですが、身体イメージや運動イメージはこのような感じです。


さて、いかがでしたでしょうか?
かなり難しい内容でしたね💧
実際、医療従事者でも難しい内容です。
しかし、この事実を知らないために、何でも筋力不足や炎症と片付けてしまうということが非常に多いです。
当院では、症状の原因を細かく観察し、対応させていただいております。



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