五臓の腎③
年内最後の更新です!
前回、東洋医学の五臓の一つ「腎」についてお話しました。
腎の働きも本当に多かったですね。
今回は腎と他の器官との関わりについて見ていきます。
各五臓は、それぞれが関わりの深い身体の器官が持っています。
それらの器官を支配部位という呼び方をすることがよくあります。
支配部位の状態は、影響を受ける各五臓の状態によって大きく変化します。
場合によっては、支配部位の器官がうまく働くことができなくなってしまうため、五臓の健康状態は非常に重要なのです。
逆を言えば、普段の健康管理において弱っている五臓の判別の手助けにもなります。
ちなみに肺の状態は、美容にも関わることが多いので参考にしてみてください!
●腎の支配部位
腎の支配部位の代表的なものは二陰・耳・骨・髪です。
二陰、耳、骨、髪の状態を見れば、腎の状態をある程度知ることができます。
・二陰
開竅於二陰
「黄帝内経素問」金匱真言論篇第四
二陰って聞き慣れない言葉ですね。
二陰とは古代の言葉で前陰と後陰の二つをまとめたもので、現代の言葉では排泄器官のことで尿道、肛門(生殖器を含む場合もある)のことです。
腎はこれらの機能に関わりがあります。
腎がしっかりと機能していれば、安定して排泄することができます。
・耳
腎気通于耳 腎和則耳能聞五音矣
「黄帝内経霊枢」脈度篇第十七
腎の力の一部は耳に影響を与えています。
腎が正常に機能していれば、しっかりと音を聞き分けることができます。
ちなみに耳は腎だけでなく心も関わっています。
腎には足の少陰腎経という経絡が、心には手の少陰心経という経絡が通っています。
同じ少陰経が通っているため、腎も心も耳に繋がっているのです。
腎が弱ってくると、腎の津液が減ってしまい、相火の熱を抑えることができなくなります。
そうなると少陰経を通って、大量の熱が心に影響を与えてしまいます。
この減少を陰虚火動といいます。
心に熱が多くなると、少陰経を通って耳にも影響が出てきて、耳鳴りや難聴という症状が出やすくなります。
・骨(骨髄)
腎生骨髄
「黄帝内経素問」陰陽応象大論篇第五
諸髄者皆属於脳
「黄帝内経素問」五蔵生成篇第十
腎主身之骨髄
「黄帝内経素問」痿論篇第四十四
腎は骨や骨髄に関与していると考えられています。
過去の腎の話で、腎や津液には固める力があるという話が出ました。
これはネガティブな作用だけでなく、骨の硬さを保つといったようなポジティブな作用もあります。
そのため、腎の機能が低下すると骨がもろくなってしまい、骨折の危険性が高くなります。
またもう一つの骨髄は、東洋医学では脳に繋がっていると考えられています。
腎がうまく機能しなくなると、脳にも影響が出て、物忘れなどの記憶の障害や認知症などの機能障害になってしまうこともあります。
・髪
其栄髪也
「黄帝内経素問」五蔵生成篇第十
髪も腎の支配を受けています。
腎がしっかり働いてくれていれば、艶のある髪が保たれます。
髪の毛の変調と言えば脱毛や白髪が挙げられるでしょうか?
陰陽の偏りが出てくると、陰は下半身へ、陽は上半身に溜まってしまいます。
上半身の陽(熱)が頭から発散される過程で、髪の毛も一緒に抜けてしまう現象が脱毛です。
これは腎がうまく働かなくなったときに津液が熱を冷やすことができないために起きる場合と、年齢を重ねてくると腎の力自体が衰えてしまい津液をうまくコントロールできなくなった結果として熱が多くなってしまい起こる場合の二つがあります。
白髪はその逆で、腎の命門の陽気が足りなくなった結果、全身の陽が少なくなり当然頭にあるはずの陽も減ってしまった結果に起こる現象です。
もともと腎が弱くなりやすい腎虚体質の方や、年齢によって起こります。
腎の支配部位について話してきましたがいかがでしたか?
全体的に腎や津液の持つ固める、冷やすと言った作用が関わっているものが多いですね。
ただ、現代の医学とは違う考え方が多く、少しイメージしづらいかもしれませんね。
年明けからも引き続き更新していきますので、読んでいただけると幸いです。
当院では、経絡を用いた全身調整の鍼灸施術で自律神経を調整し、快適に過ごすお手伝いをさせていただきます。
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