東洋医学の秋と養生①
日中はまだ少し暑いかなと思うこともあれば、朝晩は肌寒くなりましたね。
今月頭まで30℃以上あったとは思えません。
また、ここ1、2週間は過ごしやすくなって、秋だなと感じます。
さて今回から何回かに分けて、東洋医学と秋についてお伝えしようと思います。
東洋思想は、季節の中にも医学的な考えを持たせています。
東洋医学では秋をどう考えるのか、秋の過ごし方、秋の養生法についてお伝えできればと思っています。
今回は、東洋医学では秋をどのように考えているのか、そしてどう過ごしたらいいのかについてお伝えしようと思います。
ただ申し訳ないのですが、もうすぐ冬になってしまうので、秋の話の後にすぐ冬の話をしたいと思います💧
●秋と陰陽
暦では、立秋(8月8日頃)から立冬(11月8日頃)の前日までが秋となっています。
そうなるともう秋も後半に入っていますね。
東洋医学では陰陽という考え方があり、陰の力が強い陰気と陽の力が強い陽気が循環していると考えています。
- 陰気:冷やす力、一箇所に収める力、堅める力が強い
- 陽気:温める力、発散して外に向かう力、動こうとする力が強い
この陰気と陽気は、季節によって力関係が変わっていて、夏には陽気が強く、冬には陰気が強くなっています。
今年の夏は異常でしたが、一般的に暖かほうが動植物は活発になり、寒いほうが動きは緩慢ですよね?
秋は夏に強かった陽気が衰え、冬に向かって陰気が力を増していく時期です。
ちなみに秋分(9月3日頃)は陰陽の力が均一になる日で、昼夜の長さもほぼ同じになります。
●東洋医学での秋
自然界に目を向けると、秋はすべてのものが実り、収穫する季節です。
陰気が強くなって来る関係で果実は実り、夏の陽気を受けて青々としていた葉は落ちます。
人体では、冬に向けて少なくなっていく陽気を体内にしっかりと蓄えるために、陰気で周りを堅めて内側(身体の陰の部分)にしまい込んで、冬に備えます。
陽気がしっかりと陰に無いと、身体が冷えて体調を崩してしまいます。
秋は五行では金が配当されています。
五臓では肺が金の性質を持っています。
その季節にはその季節に配当された五行の力が強く働くようになります。
つまり秋は金の力が強くなります。
また同じく金の性質を持つ肺の働きも活発になります。
東洋医学では、肺は気の動きをコントロールしていて、肺が気を巡(めぐ)らせることで、皮毛を養い、寒さやウィルス・細菌から身体を守ってくれています。
※皮毛:身体の最も外側の部分で皮膚表面や周りの産毛、粘膜などを指す。
そのため、何かが原因で肺が弱っていると、気の巡りが悪くなり、抵抗力が低下してしまいカゼを引きやすくなってしまいます。
●秋の過ごし方
本来、秋は気候も落ち着いて過ごしやすくなることから、体調を崩す方が減る傾向にあります。
しかし、過ごしやすいと同時に夏の疲れが一気に出てくる季節でもあります。
夏の暑さによって体力を消耗してしまっているのです。
その場合は、単純に体力の消耗によって抵抗力も落ちているため、秋になって気温が少しずつ下がってくることが身体に負担をかけてしまいます。
また近年では、エアコンで身体を冷やしすぎたり、冷たい飲食物のとりすぎで身体を冷やしてしまうということも疲れの原因となっています。
特に50代以下の働き盛りの世代では、こちらの方が多いように感じます。
この冷やしすぎた場合も、秋の気温の低下で身体がダメージを負います。
こちらは暑さによるものと違い、身体の中の陽気が少なく、寒くなっても温める力が足りない状態です。
本来は、陽気の旺盛な夏の間に身体の中に陽気をたくさん取り込んで、外気の暑さに負けない夏仕様の身体をつくります。
そしてその陽気を秋や冬に使うのです。
夏の暑さはやはりツラいので、たまに冷たいもので冷やす程度であれば問題ないありません。
しかし、夏の間に外気の暑さに対して身体を冷やすことを中心にバランスを取ってしまうと、陽気を使って身体を温めるという機能が落ちてしまうので、秋に涼しくなってくると身体を温めることができなくなります。
その結果としてだるさ、鼻や喉の異常、ぎっくり腰や寝違え、胃腸症状などが現れることがよくあります。
秋は、夏の過ごし方で左右される事がよく分かりますね。
ただ夏にエアコン無しで過ごすことは、大変危険です。
「冷やしてはいけない」と極端に考えすぎず、「冷やしすぎなければ大丈夫」と捉えていただければと思います。
しかし、職場や電車内のエアコンなど、自分の意志とは関係ない条件で冷えてしまった場合は、秋の間に温かいものをしっかり摂ってください。
次回は秋の間の養生法についてお伝えできればと思います。
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