東洋医学と夏の養生②
前回から、東洋医学での「夏」についてお話しています。
東洋医学では夏をどのように考えているのか見てきました。
今回は夏に気をつけるべきことをお伝えしてきます。
夏はその暑さ故に気をつけるべきことがあります。
本来、暑さや寒さ、雨風は気候は人体にとって悪いものではありません。
しかし、度を超えたものは身体にとって悪影響を及ぼしてしまいます。
その悪影響を及ぼす自然界の現象を外邪と呼びます。
●夏の邪
夏に健康に影響を与えるものとは、言うまでもなく蒸し暑さです。
温かいということは陽気が充実しているということなので、本来は様々なものを陽気が育んでくれるのですが、やはり暑すぎるということは身体にとって良くありません。
最近では酷暑という言葉が使われるように、夏の暑さが度を越えています。
度を越えた暑さは、腠理※をむりやりこじ開け、汗を大量にかかせます。
※気血津液が体内外を行き来するための通り道、汗腺も腠理の一つ
汗を大量にかくため、血を大量に消費してしまい冷却機能も落ちてしまいます。
また開いた腠理を通って熱気と湿気が外から中に侵入してきます。
この外から入ってきた熱気と湿気は、身体に害をなすもので暑邪と湿邪と言います。
暑邪は身体にもともと体内に存在する陽気と合わさり、陰気を押さえつけてしまいます。
湿邪は暑邪によって体内で蒸気となり、身体を内側から蒸し焼きにしてきます。
この暑邪と湿邪の影響で五臓六腑がダメージを受けてしまい、特に湿邪は消化器系に大きなダメージを与えるため、夏の蒸し暑いさにやられると食欲不振や下痢などの消化器症状が出やすくなります。
●夏に気を付けること
さんざん夏の蒸し暑さのことを話してきたので、やはり酷暑は避けて少し身体を冷ますのが良さそうですね。
確かに熱を冷ますこと自体は重要ですが、冷やしすぎてしまうと身体に、特に消化器系に不調が起きてしまいます。
人は飲食物から気血を作っているのですが、胃腸は鍋のようなもので、飲食物を鍋で煮詰めることで気血を作っています。
飲食物から気血を作るには、鍋を火にかけて熱を加える必要があるのですが、冷やしすぎると必要な熱がなくなり胃腸がうまく働けなくなり気血を作ることができなくなり夏バテになってしまうのです。
このように、夏には熱による不調と冷えによる不調の両方がよく見受けられます。
特に夏は心が盛んに働く季節なので、熱が多すぎると心に熱がこもってしまいます。
もともと心は熱や陽気の多い臓のため、熱が多すぎると負担が大きくなってしまいます。
結果として動悸や息切れを起こしてしまうのです。
また、暑さのせいでどうしても冷たいものが欲しくなってしまいますが、冷やしすぎると食欲不振や下痢などの症状が出やすくなります。
特に少し気温が落ち着いてくる晩夏から秋にかけて冷たいものを摂り続けていると、陽気を消耗してしまって、秋や冬に身体を温めることができず、カゼをひきやすくなったり、咳が止まらなくなったり、お腹を壊したりという症状が多くなってしまいます。
しかし冷たいものは絶対に摂ってはイケないというわけではなく、「適度に」であば問題ありません。
そのため、帽子や日傘などで厚さ対策をし、屋内では冷房で冷やさないように1枚羽織るものを用意しておくと良いでしょう。
また冷たいものは程々にしてみましょう。
今回は夏に悪さをする邪と、気をつけることを少しお伝えできたかなと思います。
次回はお知らせを挟んで、その後に実際の養生について見ていきたいと思います!
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