五臓の腎④
さて五臓の腎の話の4回目です。
今回は今前回までにお伝えできなかった腎についての補足と、腎に関係する六腑についてお伝えしたいと思います。
まずは前回までにお伝えできなかった、腎についての補足なのですが、補足というのは腎が弱ったときに食べた方が良い物についてです。
●腎と鹹いもの
腎欲鹹
「黄帝内経素問」五臓生成論篇第十
鹹は耎らぐ
「黄帝内経素問」蔵気法時論篇第二十二
腎は堅を欲す
「黄帝内経素問」蔵気法時論篇第二十二
東洋医学では五味という考え方があり、その味の食べ物を摂ることで身体に様々な反応が起きると考えられています。
五味には酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味の5つがあります。
その五味の中で、腎が弱ってきたときに重要になってくるのが鹹いものです。
鹹味には物質を和らげる作用があると言われています。
はて?鹹って何?どう読むの?と思われる方もいらっしゃるでしょう。
鹹は塩からいという意味の漢字で、「しおからい」や「カン」と読みます。
日本で日常的に使用されることはまず無い漢字で、漢検1級レベルらしいです。
普段、腎は津液を溜め込んでいて、必要なときに津液を送り出しています。
腎は、腎が本来持っている精気と津液の力で堅固な状態に保たれています。
ただし、この津液は陰の力が強いため、多くなりすぎると冷えてすぎてカチカチに固まり身動きが取れなくなってしまいます。
物事には限度がありますよね。
そこで鹹味の力が重要になります。
鹹味には和らげる作用があると言われています。
野菜を塩漬けにすると、中の水分が抜けてシナっと柔らかくなりますよね?
鹹味の和らげるとはまさにその作用です。
腎に溜まりすぎた余分な水分を外に出し、冷えすぎないようにしてくれています。
冷やさないようにするという点では、命門の陽気も同じ力を持っていますね。
腎はもともと冷やし固める力が強いため、それを緩和し、必要な陽の力を補うための作用と言えますね。
気をつけたいことは、東洋医学的な考え方が起こった当初は塩が非常に貴重だったため、腎を補うにはよく摂られていたのでしょうが、現代の日本では十分に塩分を摂っています。
そのため、腎が弱っていそうだからと言ってあえて塩からいものを多めに摂るということはあまり必要なく、お漬物を1品増やす程度で問題ないでしょう。
むしろ摂り過ぎてしまうと、東洋医学的に考えれば必要以上に津液を排出すてしまい冷やすための津液が足りなくなってしまいます。
結果として熱がこもりやすくなり、陰虚という熱による症状が出る可能性が高くなります。
西洋医学的に考えても、腎臓への負担が大きくなり病気になる可能性が高くなります。
塩分の摂りすぎは、東洋医学の腎にも西洋医学の腎臓にも良くないということですね。
各五臓には表裏の関係になっている六腑が存在します。
六腑は五臓の働きをサポートし、五臓の力は六腑に影響しています。
●腎と膀胱
・表裏関係
腎は膀胱に合す。膀胱は津液の府なり。
「黄帝内経霊枢」本輸篇第二
腎と表裏関係にある六腑は膀胱です。
解剖学的に考えても腎と膀胱は尿管で繋がっているため表裏関係と言われると納得ですね。
膀胱は、腎に取り込まれた命門の陽気を利用して尿を排出しています。
腎の津液が足りなくなると陰虚という状態になります。
この陰虚の状態は、陰陽のバランスが崩れ陰陽がうまく循環できなくなります。
こうなると相火が腎に降りづらくなり、命門の陽気が足りなくなって尿の出が悪くなります。
逆に津液が多すぎると、腎に溜められた命門の陽気の力も弱まってしまい腎の引き締める力も弱まってしまいます。
そうなると尿を我慢できなくなり、出る量や回数も多くなります。
さて4回にわたって腎について話してきました。
腎は東洋医学でも水分代謝の要です。
また主に津液を扱っている関係で、五臓の中でも特に気温の低下など冷えに弱いです。
また津液の代謝がうまくできずに溜まってしまうと、冷えやすい身体になってしまい、冷え性や肩こりや腰痛を引き起こすこともあり侮ってはいけません。
当院では、経絡を用いた全身調整の鍼灸施術で自律神経を調整し、快適に過ごすお手伝いをさせていただきます。
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